蒲公英 ~癒しと生命力の花~

日記ブログ。たまに短編小説を発表。長編小説(別サイト)連載時は更新通知ブログと化す。

スポンサーサイト 

( --/--/-- --:-- ) Category スポンサー広告 | コメント(-)

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-->
Copyright © 2008-2012 いき♂@蒲公英 . All rights reserved.
コメント(-)

【番外編】 肝試し(学園キース 1) 

( 2009/08/18 18:32 ) Category キース番外編 | CM(13)

 林鈴(リンベル)学園は明日から夏休み。正門から出てきた男子生徒がふたり、並んで下校している。
 片方の生徒は大きめの瞳がくるくるとよく動く、好奇心の塊のような少年。今どきの高校生にしては珍しく、可愛らしいとさえ表現したくなるような雰囲気を持っているが、その表情と癖のある髪の毛がよくマッチしている。
 その隣を歩いているもう一方の生徒は彼より頭ひとつ背が高い。彼は相棒を見上げ、声をかけた。
「今夜は現地集合だよね。で、誰を誘ったのさ、キース」
 名を呼ばれ、静かに視線を向ける。
 彼の名はキース。成績優秀、スポーツ万能の彼は身に纏う雰囲気と整った顔立ちとが相俟って、一部の女子生徒から王子と呼ばれており、学内にはファンクラブさえ設置されているという。財閥の御曹司と言われたら誰もが納得するだろうが、ごく平均的な家庭で暮らしている。
「それを先に言ったら面白くないぜ。楽しみにしてろ、バレグ」
 粗野な言葉遣いがミスマッチだが、キースにとってはこの状態が自然なのだ。今のところ、バレグをはじめとする何人かの幼馴染みの前でだけ、彼は本来のキースとして振る舞う。
「ちょっと待て。キースの言う楽しみって、いつも心臓に悪い内容ばっかりじゃないか。ヒントだけでも」
「多少のゲストはいるけど、ほとんど同じクラスの連中」
「なんか、思ったより大人数っぽいね。で? ヒント、それだけ?」
「今夜になれば嫌でもわかるさ」
「ちぇーっ。キースのケーチ」
 その言葉に歯を剥き出して笑うキース。
「う。ファンクラブの女の子たち、キースのこの野生児っぽい表情を見ても王子って呼ぶのかなあ……」



 時は流れて深夜十二時。
 林鈴学園の正門前に立ったバレグ。彼は通用口が開いているのを気にしつつ、門を背にしてキースの到着を待った。
「むう。時間ぴったりなのに、やっぱり僕が一番乗りかあ。キースの奴、一体誰を何人呼んだんだろ――むぐっ」
 一瞬の出来事だった。
 バレグは口を塞がれ、通用口から学園内に引きずり込まれてしまったのだ。
 仰向けに転がされ、恐怖に震えるバレグに、女の声が話しかけてきた。
「しっ! 落ち着け、馬鹿バレグ。こんな時間に外をうろついてるのがバレたら、親や教師に言い訳できないだろ」
 暗闇の中、がくがくと首を縦に振るバレグに気付いた女は、彼の口から手を離す。
「その声――スーチェ!?」
「だから静かにしろって!」

 ――ごつん。

 押し黙ったバレグは、懐中電灯で照らされた。彼のすぐ横に立つ少女の姿も同様に照らされている。
 バレグとほぼ同じ背丈のポニーテールの少女だ。整った顔立ちをしているが、身に纏う落ち着いた雰囲気のせいか、遠目には美少年のように見えることもある。握り締めた拳には撃ち終えた直後の拳銃に等しい凶暴さが込められており、バレグを殴りつけた少女、スーチェであることを雄弁に物語っていた。
「よお。時間通りじゃねーか、バレグ」
 キースが手に持った懐中電灯がバレグたちを照らしていたのだ。スーチェの拳によって拵えられた見事なたんこぶが、懐中電灯の光を綺麗に反射していた。
「まあ、綺麗♪」
 キースの隣に、腰まで伸びた長い髪を持つ少女が立っている。
 彼女の輝く笑顔は暗闇の中にあってさえ周囲に虹色の星をふりまいている。学園の花々の中にあってさえ一際目立つ白百合。この学園の男子生徒であれば、いや、女子生徒であっても知らない者はいないと思われる大輪の花。キースの隣にいるのはそういう少女なのだ。
「いってー。なんだよエマーユまで。あの優しかったエマーユはどこに……。すっかりキースの悪影響に染まっちゃって」
 長髪の美少女、エマーユがバレグのそばにしゃがみこむ。
「ごめんごめん、バレグ、大丈夫?」
 苦笑してバレグのたんこぶに手を伸ばすエマーユの背後から、キースとスーチェが見下ろしている。
「放っときな、エマーユ。男のくせにたんこぶひとつで大袈裟なんだよ、バレグは」
「感謝しろ、バレグ。今日もスーチェとの親交が深まったじゃねえか」
「どーゆー感覚してんのさ、キースはっ。いてて」
「いたいのいたいの、とんでけー♪」
 ひとりだけ明らかにテンションの違うエマーユ。バレグはため息をついた。



 立ち上がったバレグは気を落ち着かせ、服に付いた土埃を払いながらキースに問い質した。
「この4人で決行するの? でも、スーチェはともかくエマーユには危ないんじゃない? ドレン校長の不正を暴くなんて」
「スーチェはともかくってなんだよ、バレグ――」
 バレグに食ってかかるスーチェを手で制し、キースはにやりと笑った。
「肝試しだ」
「は?」
「聞こえなかったか。き・も・だ・め・し」
「あの、もしもし?」
 エマーユがにこにこと笑う。
「楽しみー♪」
 その様子を横目で見つつ、スーチェが無愛想にバレグに説明する。
「物わかりの悪い奴だな、バレグ。キースは最初から肝試しをするつもりで私たちを集めたのさ。いつものようにかつがれたんだよ、お前は」
 能面のように表情が消えていたバレグだったが、我に返ると頬を膨らます。
「最初っからそう言えばいいじゃないかっ。大体キースはいつもいつも」
「いつもいつも同じ手口に引っ掛かる奴が悪い。学習しろ。ま、さすがの俺にも罪悪感があるからな。だから今日はお前のためにスーチェを呼んだのさ」
「おいキース。さっきから聞いてりゃ……。私はバレグのエサか。逆ならまだわからんでもないが」
「あら、やっぱりそうなの?」
 エマーユの絶妙なツッコミに、スーチェは一瞬固まり、次いで頬に赤みが差す。
 口許に笑みをはり付け、キースが高らかに宣言した。
「今夜はゲストにいろいろ仕込んでもらってる。俺も内容は知らないぜ。コースは校舎の間を抜けて裏門までだ。肝試し、スタート!」



 先にスタートしたバレグ&スーチェチームが裏門に到着した後、すぐにキース&エマーユチームも到着した。たっぷりと時間差をあけてスタートしたはずなのに。
「ううむ。もっとエマーユが怖がって俺に抱きついてくるシチュエーションを期待したんだがな」
「うふふ。こんな肝試しじゃなくっても」
 バカップルぶり全開の会話を交わす二人は、先に到着した二人を見下ろして絶句した。
「ほらスーチェ。もう大丈夫だから」
 しゃがみこみ、肩を震わせているのはポニーテールの少女。その背を優しく撫でているのは癖毛の少年だったのだ。
「うぇ。ひっく」
 まさに、事実は小説よりも奇なり。

~「肝試し」 完~



あとがき
キースシリーズのセルフパロディです。
マイルド風味な学園物テイストでw
今回は学園物第一弾ということで、あまり飛ばしすぎないよう気をつけましたが……。
第二弾以降があるのかどうかについては不明(^^;
▼追記(18歳未満閲覧危険……嘘ですよ♪)▼
Copyright © 2008-2012 いき♂@蒲公英 . All rights reserved.
小説というより、シナリオですね。
[ 2009/08/19 21:15 ] [ 編集 ]
ご意見ありがとうございます。
明らかに捨てハンとわかるHNでのご意見、おそらくご批判のおつもりなのでしょうね。
そうであれば、ついでに簡単なご指導願えないでしょうか。
そうすれば、私はシナリオライターを「自称」できるよう、勉強する気になれるかも知れません^^


いき♂
[ 2009/08/20 08:36 ] [ 編集 ]
来ましたね番外編!
しかも私の大好物の学園ものー(^O^)/
番外編の文字に飛びつきましたw
スーチェが怖がりってとこが萌え要素ですね(*^-^*)
[ 2009/08/20 13:42 ] [ 編集 ]
林鈴学園・・・うん。好きですよ~e-266
・・・もうひとつの結末もウズウズしながら待ってますし。
学園ものの番外編も是非シリーズ化して欲しいな~e-284
気長~に待ってるe-266

[ 2009/08/20 15:20 ] [ 編集 ]
愛音さん>>
来ましたよ番外編!
> スーチェが怖がりってとこが萌え要素ですね(*^-^*)
えへへ^^
最初は、ここまでスーチェが怖がると思っていなかった仕掛け人が、お化けの扮装を解いて心配して見に来るという描写もしていたんですけど、どうにも蛇足にしかならないので削除しました。


アマゾネスさん>>
ありがと~

> ・・・もうひとつの結末もウズウズしながら待ってますし。
え、なんのこと?(バキッ
うはは、ちゃんとアップしますぜ奥さん!

> 学園ものの番外編も是非シリーズ化して欲しいな~
構想はありますので、そのうちに(^^)
[ 2009/08/20 18:23 ] [ 編集 ]
気に入っていただけましたか?
よかったですー。
はい、次回は飛ばし気味な番外編を制作してみようかと思います!
[ 2009/08/24 12:14 ] [ 編集 ]
嬉しかったなんて言っていただけて、バレグもスーチェも喜びます♪
次の機会には、もう少しパワーアップした番外編をお届けすることを目標に書きますね^^

いき♂
[ 2009/09/01 00:44 ] [ 編集 ]
スーチェかわいい≧∇≦
こういう風に設定を変えたお話もいいですね^^
二度美味しいみたいな^^

なんか最近批判コメが多いですね><
こうしたらもっといいかも、とか何か言ってもらえないと対処できないですよね><
批判コメも意見として大事ですけど、それを生かせない内容の誹謗中傷に見えてしまいました><
[ 2009/09/03 06:57 ] [ 編集 ]
いつものハラハラな展開のお話とは違って、
微笑ましいですね~このバカップル~(^ω^
いつものリアルな映像じゃなくて、
ちょっとデフォルメされたマンガチックな画で再生されましたよ。

いき♂さんの優しい人柄だニャ、こりゃ。
[ 2009/09/03 08:46 ] [ 編集 ]
> スーチェかわいい≧∇≦
(*´ω`*)テレテレ……って俺じゃないっすねw

> なんか最近批判コメが多いですね><
あ、最初にコメントくださってる方のことですか?
この方からはもう一度コメントいただいており、これは批判ではなく感想コメントだということがはっきりしました。
黎風さんからは、この方からの二度目のコメントをいただいたエントリの方に、先にコメントいただいてますね^^

> こうしたらもっといいかも、とか何か言ってもらえないと対処できないですよね><
本来、読者の数だけ読み方があり、読者の数だけ感想があると思います。
感想もしくは建設的な提案を含むものであれば、それを私が納得できれば(←ここ重要)発言者の匿名性如何にかかわらず謙虚に拝聴します。
もし、「こんなくだらねえもん晒してんじゃねえよ」と1行のみコメントするのであれば、そのコメントは私としては削除対象です。
そう思うなら読みにくるな、って話ですからね(^^)
[ 2009/09/03 09:01 ] [ 編集 ]
おお、そうだったんですね><
早とちり><
わたしも感想とかで、読者さんの意見は重視したいですね^^
こうしたほうがいいよとか、ここはダメとか言ってもらえると、次に生かせますよね^^
今度時間が取れたときに、キースの続き読ませていただきますね^^
[ 2009/09/03 09:05 ] [ 編集 ]
> いき♂さんの優しい人柄だニャ、こりゃ。
(*´ω`*)テレテレ……
いやぁ、実際は優しくないのニャw
怒りっぽいし身勝手だしw
[ 2009/09/03 09:07 ] [ 編集 ]
http://ytsumura.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_dcc5.html
ことネット上のコミュニケーションという話になると様々な論争がありますが、私としては耳の痛い意見も歓迎ですよ、ということで^^
ただ、匿名である以上、たとえ発言者が著名な人気作家先生であっても、最初っから高圧的に「説き伏せてやろう」とか荒らし同然の口汚い言葉で罵るようなことがあれば、こちらとしては反発することもあるだろうし、スルー(削除)するのもブログ管理者として当然の対応だと思います。
[ 2009/09/03 09:22 ] [ 編集 ]
コメントの投稿













内緒コメント/記事と無関係なコメントはなるべくチェックを……

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。