蒲公英 ~癒しと生命力の花~

日記ブログ。たまに短編小説を発表。長編小説(別サイト)連載時は更新通知ブログと化す。

スポンサーサイト 

( --/--/-- --:-- ) Category スポンサー広告 | コメント(-)

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-->
Copyright © 2008-2012 いき♂@蒲公英 . All rights reserved.
コメント(-)

What makes my heart sing? -5- 

( 2012/01/24 00:00 ) Category 短編/お題 | CM(11)

 飛び散る汗がスポットライトを反射して輝く。フォグに包まれたステージ上で俊樹が身体を折り曲げる。
 ジョニーがかき鳴らすギターの音色に乗り、背を合わせた花蓮とマリーが高い声を張り上げる。
(ありがとう、地球人。すでに敵の七割以上を掃討した)
 頭の中に直接響く声。

「あれ、俺たち撃たれたんじゃなかったっけ……」
 熱唱していた曲が終わったタイミングで俊樹は周囲を見回す。ジョニーのライブハウスの中だ。
「……!」
 耳を澄ますまでもなく雷鳴が聞こえる――自然の雷じゃない。
 聞き覚えがある。路上に何人もの黒焦げ死体を転がした、UFOによる雷撃だ。
「いや、でも」
 嫌な感じがしない。俊樹以外の三人も気にしていないようだ。
 それさえも演奏の一部であるかのように、四人の歌声が夜空に響き渡る。
(手を煩わせてすまない。残りの敵も所在を把握した。あとはゆっくり休んでくれ)
 何曲目かの演奏を終え、ジョニーが俊樹たちに同意を求める。
「全然歌い足りねえ。最後まで協力するさ。……なあ、トシ? レニーとマリーも」
 片目を閉じるジョニーを囲み、三人の少年と少女が頷き合う。
(うむ。では好きなだけ演奏していただこう)
 普通に会話する宇宙人とジョニーの様子を見た俊樹は、途切れていた記憶のピースがはまる気分を味わった。
「そうだった。俺たちは今」
 今、彼らがいるのはUFOの内側である。そして彼らの歌声は日本全国へと『配信』されているのだ。
 俊樹が周囲を見回しながら呟いた。
「それにしても、外側だけ見ると乗用車と同じくらいの大きさなのに、内側はこんなに広いなんて」
(いや、君たちの肉体は元いた場所《ライブハウス》に保存してある。今、ここには君たちの意識だけを乗せているのだ。君たちの言葉で言えば、サイバースペースやバーチャルリアリティ空間と言った概念に近い)
 ジョニーは考えるのを放棄するかのように言う。
「どっちでもいいぜ。この身体もギターも仮想現実だとは信じがたいが、音が出て歌も歌えるなら問題ねえ。歌うだけさ」

   *   *   *

 雷鳴が轟き閃光が視界を奪う。
 凶暴な熱波が荒れ狂い、生きたまま溶鉱炉にでも放り込まれたかのような錯覚に身も心も押し潰されそうになった俊樹だったが……。
「…………」
 やがてあたりは静寂に包まれる。
 床にうずくまっていた俊樹はおそるおそる立ち上がる。身体のどこも痛くない。
 落雷に見舞われたのかと思ったが、そんなことはなさそうだ。
 周囲を見ると、すでにジョニーが立っていた。抱き合っていた花蓮とマリーもお互いの身体を支え合うようにしてゆっくりと立ち上がる。四人の身体が光を放っているように見えて軽く頭を振った俊樹だったが、ふと疑問が湧いて天井を仰ぐ。
「……あれ?」
 記憶に齟齬が生じている。俊樹はもう一度頭を振った。
「たった今、俺たち歌ってなかったっけ」
 正面の床を見下ろした。
 人型の炭が四つ、床に転がっている。
 何が起きているのか、すぐには理解できない。続いて真下を見下ろし、今度こそ声にならない悲鳴を上げる。
 俊樹たち四人の身体が転がっている。それぞれの身体の上に、ぼんやりと燐光を放つ身体が浮いていたのだ。
(大丈夫だ。君たちは死んではいない)
 頭の中に直接響く声。
 ゆっくりとライブハウスの入口に目を遣ると、壊れて開け放たれた扉の向こうから光が射し込んでくる。光源にいるものは、UFO――路上で目撃した奴だ。
(君たちの勇気に敬服する。我々は……いや、我々も、というべきか。ノエルスフィア星人だ。君たちは乗り物だと思っているようだが、円盤形生命体だ)
 俊樹は他の三人と顔を見合わせ、みな同じように円盤形生命体の声を聞いていることを知った。

 円盤形生命体の説明はこうだった。
 日本政府を乗っ取ったのは指名手配中の犯罪者。故郷のノエルスフィア星を追われて宇宙海賊となった連中である。しかし、宇宙での海賊行為は長くは続かなかった。
 圧倒的な武力を誇る星間連邦警察に目を付けられた海賊どもは安住の地を求めて銀河辺境を目指し、やがて地球へと逃げ延びた。ヒューマノイド型生命体である海賊どもは住人として地球に潜伏し、追っ手の目を欺くことに成功する。その後、地球人より何倍も長命であることを利用して緩やかな侵略を実行に移した。
 星間警察による海賊捜査の手は、一応は地球にも伸ばされたという。しかし、地球が星間連邦に所属していないこと、及び海賊どもによる地球人殺戮行為がない――少なくとも発覚しない――ことにより、惑星侵略行為についてはろくに調査されることはなかった。
 結局、海賊行為の途絶えた宇宙海賊を執拗に追跡することなく、星間連邦警察は引き揚げてしまう。
 一方、海賊どもが日本政府とかわした寿命を延ばすという約束には偽りはない。そのための手段として、人間の肉体を有機サイボーグに交換するというのだ。
 しかし、取引にあたって海賊どもが隠していた事実がある。
 有機サイボーグには歌を歌う機能と――生殖機能がないのだ。
(それだけではない。サイボーグ化された地球人はおそらく洗脳され、海賊どもの尖兵として使役されるだろう。同じ星の警察として我々が奴らを止めなければ)
 そこまでの説明を聞いて、俊樹は疑問を口にした。
「UFOを撮影しようとしていた人々を撃っただろう。あれは何故だ」
(奴らも宇宙海賊。そして我々は海賊どもの正体を見破るスキャニング装置を持っている。しかし、携帯電話に似せた端末は我々のスキャニングをジャミングする装置であり、攻撃を兼ねる武器でもある)
 そう言えばあの三人組、不自然に腕を伸ばしていたっけ――そのことを思い出した俊樹は、続いて何者かから警告を受けた記憶を呼び覚ます。そう、たしか(伏せろ、地球人!)と。あれは、UFOからの警告だったのだ。
 UFOの説明に熱っぽい響きがこもり始めた。
(地球人の歌には――とくに、きみたちの歌や叫び声には力がある)
 車を盗られた際に叫んだ俊樹の声。スタジオでの四人の歌声。それらは、宇宙海賊どものジャミング端末の効果を劇的に打ち消すというのだ。
 ここで銀河パトロールたちの『声』の調子が説明口調から依頼口調へと切り替わる。
(我々はこれより宇宙海賊どもの残党狩り、および奴らによる破壊工作の数々を元に戻すための作業に入る。そこで相談だが、地球人の青年よ。君の声はとてもよく通る。君の――君たちの声を、地球人のラジオと我々の音声出力機から地上へと流したい。そうすれば、残党狩りが楽にできる)

   *   *   *

 瞬きを一つして、目を開けた俊樹は左右をきょろきょろと見て呟いた。
「あ……まただ」
 スポットライトに照らされたステージ。ジョニーとマリー、そして花蓮が側にいる。
(君たちの意識を肉体から切り離し、ライブハウスからここに転送した。しばらく記憶が前後すると思うが、特に問題ない)
「肉体……」
 覚えている。俺たちは旧日本兵――宇宙海賊どもに、確かに撃たれた。
 呆然と呟いた俊樹たちの頭に、UFOの声が響いてくる。
(間に合わなくて申し訳なかった。だが、肉体の損傷は明朝までには修復可能だ。こうして四人とも意識をサルベージできたので、明朝には肉体に戻す。戻してすぐ、元通りに活動できるので心配ない)
 マリーが声を張り上げた。
「あたしらはロッカー。いえ、シンガーズ! とにかく、歌えるんなら何の問題もないわ」
(メリークリスマス、シンガーズ)
「声が嗄《か》れるまで歌おうぜ! 花蓮」
「うん、朝まで一緒に! 俊樹」
 突然、床が揺れた。壁面から火花が飛び散る。
(すまない、演奏を再開してくれ。敵の位置が把握できない)
 海賊どもからの反撃を受けているのだ。
 俊樹が振り向くと、すでにギターを肩にかけていたジョニーが親指を立てる。
「それじゃいくぜ!」
 ジョニーの伴奏を合図に、俊樹は場の全員と視線を交わす。
 イヴに世界とキミと――仲間たちと。

We Wish You a Merry Christmas,
And a Happy New Year!



【What makes my heart sing?  完】

Copyright © 2008-2012 いき♂@蒲公英 . All rights reserved.
こ、更新再開してたっΣ(・□・;)

読む!
[ 2012/01/24 17:02 ] [ 編集 ]
>>るる
いつもありがとー\(^O^)/
「What makes my heart sing?」は、ブログでは5分割したけど、ここで改稿を加えた分はすでに「小説家になろう」にも反映ずみだから、一気読みしたければ「なろう」の方でよろしく♪
[ 2012/01/24 17:55 ] [ 編集 ]
UFOと侵略とロック、意外な組み合わせでした!
面白かったです♪

メリー・クリスマス、〇〇‥‥私の予想全然間違ってましたね(笑)
歌声にはちからがある、かあ。
いい言葉だなあ(*´ω`*人)

地球以外の惑星に生命体が存在し得るか否か、つまり宇宙人は実際にいるのか? ということを科学的に考えるならば、「生命が誕生するに最適な条件が揃う惑星が、地球ただひとつしかない、というのは無理がある。よって、宇宙人という存在はありえない、と断言することは不可能である」ということらしいですね。
トンデモ本とかでUFOの写真を見たりすると、いつか地球にやってくるんじゃないか、とか考えたりして、子供の頃は本気で怖くて、眠れなかったことがある私です(笑)
え、痛い子じゃないですよっヽ(`Д´)ノ

できることなら、地球の味方になってくれる、こんな宇宙人もいてほしいものですね。

爽やかな読後感をありがとうございました♪
結局、後半は一気読みしてしまった(笑)
またちょくちょくお邪魔しに来ます~。
ではでは。
[ 2012/01/26 14:36 ] [ 編集 ]
読了ありがとうございます!

> 面白かったです♪
嬉しいです♪

> 歌声にはちからがある、かあ。
> いい言葉だなあ(*´ω`*人)

ええ、マクロス的な意味で、ね(笑)


そう、知的生命がこの広い宇宙の中で地球にしか存在しないだなんて大きな思い上がりなんじゃないか、とw
もっとも、異星人同士が出会う確率なんて分数で表したら分母はそれこそ天文学的な数字になるんでしょうけれどもww

> え、痛い子じゃないですよっヽ(`Д´)ノ
そういう想像は普通にするでしょ^^
我々の世代……おっとマルさんは私より若いはず、ってことでっ^^

> 結局、後半は一気読みしてしまった(笑)
む、無理してませんよね?(ドキドキ)

最後にもう一度、ありがとうございます!
[ 2012/01/26 19:20 ] [ 編集 ]
マルさんは実は無理をしていたのであった………!

プロジェクトX………!


嘘です。
関係ないコメントごめんなさい………。
[ 2012/01/29 17:55 ] [ 編集 ]
ちょっと、るるさん、失礼なっ(笑)
確かに一日一話のつもりだったんだけど、無理はしてないですよΣ(´Д`lll)オロオロ
(途中のお話にコメントを付けると、返信の内容に苦労するっていう意味がちょっとわかったんですよorz
短めのお話ならいっぺんに読んだ方がいいのかなっって思ったのです)

ところで何でプロジェクトX???
町工場で革命?
あれ、これってプロジェクトXでしたっけ‥‥。

いき♂さん、マクロス的な意味だったのですね~。
詳しくはないのですが、私はラーゼフォンを思い出しました♪
あれももう昔のアニメの部類なのかな。

私、痛い子じゃなくてよかった(笑)
前コメの話ですが、確かに宇宙に地球しか生命が存在しない訳はないというのは絶対的な科学論らしいですが、実際のところ、宇宙人はいないも同然なのですってね。
お互いの活動範囲内、つまり、持てる科学技術で到達できる範囲の中に、生命活動のある惑星がないからなのだとか‥‥。
だから、永久に発見することができないから=いないのと同じなんですって。

地球は、今のところ確かにそうかもしれませんね。
でも、もっともっと文明の進んだ宇宙人の星が‥‥ない、とは言い切れないと思いません?
あると思った方が絶対楽しいのに~><;

そんなことを思ったので、るるさんの面白コメントに横入りするついでにカキカキしておきます(笑)
[ 2012/01/30 15:24 ] [ 編集 ]
>>るる
ごめんちょっと意味判らん。
マルさんに伝わってるんなら、それでいいかw

>>マルさん
> いき♂さん、マクロス的な意味だったのですね~。
> 詳しくはないのですが、私はラーゼフォンを思い出しました♪

ラーゼフォンも結構好きでした♪

> だから、永久に発見することができないから=いないのと同じなんですって。
高度に発展した異星人は、現在の地球人が認識できる時間と空間を超越した高次の時空から地球人を俯瞰しているにちげーねーのですw
ま、宇宙への入口でごにょごにょしてるだけの地球人が宇宙を知った気になるにはまだ早いってことですよねっ♪
[ 2012/01/30 20:51 ] [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[ 2012/02/19 11:17 ] [ 編集 ]
「なろう」で拙作『夏の雨』を読んでいただけたようで、ありがとうございます。
淡い恋心を感じていただけて、とても嬉しいです。


ブログの設定の件ですが、お答えします。
ここのトップページは、「テンプレートの設定」でCSSをいじってあるんです。
詳しくは、下記ブログで紹介されている手法を利用しています。
http://fc2blogshop.blog13.fc2.com/blog-entry-230.html
エントリー表示用のタグで囲んだ記事を、変数
<!--index_area-->

<!--/index_area-->

で囲むのです。
その上で、
<!--topentry-->

<!--/topentry-->

で囲まれた通常のエントリーを
<!--not_index_area-->

<!--/not_index_area-->

で囲んでやればOKです。
個別の記事に飛ばすためのナビゲーションには好みの工夫を凝らすと尚良いかと思います。
(私はその点やや不親切かもw)
[ 2012/02/20 14:44 ] [ 編集 ]
上で
> エントリー表示用のタグで囲んだ記事
とだけ説明したのは固定記事なので、テンプレート中で直接記事内容を記述してあります。私の場合。
[ 2012/02/20 14:54 ] [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[ 2012/02/20 20:35 ] [ 編集 ]
コメントの投稿













内緒コメント/記事と無関係なコメントはなるべくチェックを……

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。